文献管理は院生以上なら恐らく誰しも悩むところで、自分もこれまで色々な方法やソフトを試してきては、色々と不満があって結局 「ファイル名をつけて保存」→フォルダ分けして管理 に舞い戻っていた。ところが最近割りと納得行くサービスを見つけられた気がするので、これはぜひ布教したいと思ってこの記事を書いた次第である。その名は Paperpile である。
Paperpileについて説明する前に、折角なので文献管理と切っても切り離せない、その前段階の新着論文探しに必須な Feedly についてもまず紹介しておく。
Feedly
ブラウザ上でのFeedly操作画面 |
Android端末上で、GReaderを使ってFeedlyを閲覧している様子(左→右) |
これにより、
①待ち時間
②興味を持ったものを"Saved for later"にして、
③大学でPCからFeedlyを開きダウンロードする
というスムーズなプロセスが可能になるのである :)
Paperpile
https://paperpile.com/ |
しかしPaperpileの最大の特徴は、全ての機能がGoogleのプラットフォーム上に構築されているという点につきる。即ち、文献は全てGoogle Driveに保存され、閲覧と検索はGoogle Chromeの拡張機能で行い、執筆支援はGoogle Docsで実現されている。
Paperpileのメイン画面。タグ付けでの整理や全文検索が可能。 |
これまでこの文献管理ソフト界隈には、Endnote (Thomson Reuters), Mendelay (Elsevier), そしてReadCube (Nature/Wiley系)などの選択肢が存在してきた。Endnoteはソフトウェアそのものが高額であるし、Mendelayは文献を独自のコストパフォーマンスの悪いクラウドに保存させるという点で魅力に乏しいものだった。Readcubeは無料かつ好きなクラウドと組み合わせることが出来るので良かったが、Adobe Airで作られているためあまりレスポンスが良くなく、論文内にはメモを書き込まない自分の使い方には無駄が多かった。
ボタンを押すだけで、PDFが自動的にGoogle Driveに保存される。 |
Paperpileで取り込まれた文献をGoogle Driveで覗いてみたところ。 適切なファイル名が与えられて保存されているのが分かる。 |
キーワード検索結果の一覧から引用を挿入する。 フォーマットツールを実行すると、文中に挿入した全ての文献の一覧が末尾に追加される。 |
ノート作成イメージ(左: PDF, 右: Google Docs)。ノート中の引用箇所から逆にPDFを開くことができる。 図中の論文は Carey et al. (2014) [CC-BY]。 |
Paperpileの解説ビデオ。その他主な機能についてはFeaturesを参照。 |
Paperpileの悪い点は、やはりGoogleべったりなところか。Chrome以外のブラウザーでは開くことさえできない。またPDFに直接書き込んでノートを取りたいという人にも、現行は向いていないように見える。またこれは全ての文献管理ソフトに共通することだが、Web上の検索エンジンから文献情報を取ってくるので、
(2016/02/12追記: 国内誌の場合、CiNiiかJ-STAGEのURLさえあれば、それをEdit→URLsへ手動で追加してAuto-Updateをかければ万事解決するようになったようだ。ただし大抵日本語タイトルで追加される。)
まとめ
・現行の流れ:① GReader @Android端末
→ Feedlyに溜まったフィードから、面白そうな新着論文を"Saved for later"にする
② Google Chrome @PC
→ 大学からFeedlyにアクセスし、"Saved for later"の論文のページにアクセスしてPaperpileに保存していく
③ Google Chrome @PC
→ 論文を開いて、Google Docsで引用しながらノートを書く
・新着論文のチェックから文献管理・執筆まで全てクラウドで完結するようになった。複数のPCで共通の環境を用意できるのでは良い。
・Googleのプラットフォームはやはり快適かつ偉大で、依存度が更に高まってしまった。
・環境を整えれば整えるほど、やっぱり人間側がボトルネックですね…
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