主要な3つの爆発的噴火様式
1. ストロンボリ式噴火 (ストロンボリアン / Strombolian)
- [由来] 名前はイタリアのストロンボリ火山から。元祖の噴火の様子はこちら。
- [仕組] 火口まで上がってきたマグマが大気中に出て弾け、飛沫となって飛び散る。
- [爆発] 短い間隔で、あるいは連続的に爆発が続く。
- [噴出] 特徴的な噴出物はスコリアやスパター。低粘性な玄武岩質マグマに多い。
- [PDC] 火砕流は基本的に発生しない。
- [事例] 日本だと典型的なものは伊豆大島(1986)の割れ目噴火で見ることができた。
エトナ山(イタリア)は頻繁にこの手の噴火をすることで知られている。
2015年のヴィラリカ火山(チリ)の山頂噴火。
このように激しいものを特に、バイオレント・ストロンボリアンと区別することも。
このように激しいものを特に、バイオレント・ストロンボリアンと区別することも。
ドローンによるヤスール火山(バヌアツ)の火口内映像。
飛んでいるのが「マグマの飛沫」であることがよく分かる。
2. ブルカノ式噴火 (ブルカニアン / Vulcanian)
- [由来] 同様式の噴火を繰り返すイタリアのブルカノ島から。
- [仕組] 火道の閉塞とガス圧の高まりによる発破の繰り返し。噴出量は少ない。
- [爆発] 間欠的に爆発が起きる。この状態が年単位で維持される事も多い。
- [噴出] 特徴的な噴出物は噴石。数mサイズのものが何kmも弾道飛翔することがある。
- [PDC] 小規模な火砕流が発生することもある。
- [事例] 桜島の間欠的噴火など多数。
タブルブル火山(パプアニューギニア)の噴火。
爆風が遷音速にまで達して、衝撃波とVapor coneが発生している稀なケース。
桜島のケース。火口近傍に多くの火山礫が着弾している。
3. プリニー式噴火 (プリニアン / Plinian)
準プリニー式噴火
(サブプリニアン / Subplinian)
例: 新燃岳(2011) | < |
プリニー式噴火
(プリニアン / Plinian)
例: 桜島大正噴火(1914) | < |
ウルトラプリニー式噴火
(ウルトラプリニアン / Ultraplinian)
例: ピナツボ(1991) |
水蒸気プリニー式噴火 (フレアトプリニアン / Phreatoplinian)
例: 鬼界アカホヤ噴火(7300BP), クラカタウ(1883) |
- [由来] ポンペイで有名なあの噴火を観察した歴史学者プリニウスから。
- [仕組] マグマ溜まり-火道-大気中が全開通し、他様式を数桁上回る規模の噴火になる。
- [爆発] 数時間~半日程度、マグマ溜まりの圧力が下がり火道が閉塞するまで止まらない。
- [噴出] 特徴的な噴出物は軽石。どのマグマでも起きるが、玄武岩質ではまれ。
- [PDC] 噴煙柱の崩壊で時偶大規模な火砕流が発生する。特にウルトラプリニー式は重大。
- [事例] 近年の日本だと、桜島大正噴火(1914)や富士山宝永噴火(1707)など。
ピナツボ火山(フィリピン)の1991年噴火 史上最後のウルトラプリニー式噴火 |
崩れつつある噴煙柱から大規模な火砕流が流れたところ。 |
番外編
ある特定の環境を伴うことによって発生する爆発的噴火2件。
a. スルツェイ式噴火 (スルツェイアン / Surtseyan)
- [由来] 1963年にアイスランドにおいて噴火で形成された新島の名前。
- [仕組] 豊富な水とマグマが浅い水深で接触し、マグマ水蒸気爆発を引き起こす。
- [爆発] 噴火が終わるか陸化するまで幾度と無く間欠的に繰り返す。
- [噴出] 吹き飛ばされた噴石がジェットとして高速で飛翔する。
- [PDC] 海面を這うサージが頻繁に発生する。
- [事例] 日本では、1989年の手石海丘、1952年に観測船が遭難した明神礁など。
2009年のHunga Tonga Hunga Ha'apai火山(トンガ)の噴火。
激しいジェットが噴き出しているのが分かる。
b. 溶岩ドーム崩壊型
- [仕組] 山頂などの高所に形成された溶岩ドームが崩れ、火砕流を発生させる。
- [爆発] 溶岩ドームの成長・崩壊というサイクルに伴い副次的に発生する。
- [噴出] 高温の溶岩が破砕しながら重力に従い斜面を駆け下る。
- [PDC] ドームが不安定になる都度、繰り返し火砕流が発生する。
- [事例] 日本では、40人以上の死者を出した 雲仙1990噴火がよく知られている。
シナブン火山(インドネシア)で2013年から始まった同様の噴火様式。
一連のプロセスが極めて明瞭に捉えられている。
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